まず言葉の定義を確認します。インフォームド（informed）=情報提供すること、そしてコンセント（consent）=同意することです。直訳するならば、医師が情報提供し（簡単に言えば説明することです）、患者側から同意を得ることを表しています。何だかあたりまえのような一文です。しかしこんな単純に聞こえることが、実は大変難しいのです。以下にポイントを整理しておきます。

　まず最も尊重されるべきは、患者さんの自己決定権です。

　医師の役割は患者から適切な自己決定を導くことです。それは患者さんの決定（選択、あるいは判断）が本当にその患者さんの福利に結びつくものであるか、という適切さです。というのは、必ずしも患者さんは常に適切な意思表示をするとは限らないからです。医師は患者さんの決定を引き出すために、必要な情報を与えなければなりません。具体的には、検査や治療の方法、それがもたらす利益と危険性、ある程度の根拠に基づいた統計的数値。さらには考えられる他の治療案とその利益、危険性。

　そして何よりも大切なのは、これらの情報をただ単に読み上げるのではなく、患者さんと同レベルに立ち、話し合うことです。つまり患者さんとの間に健全なコミュニケーションを確立させることなのです。最近急増する、医療訴訟の多くはこのコミュニケーションの破綻が原因になっていると考えます。