カテーテル治療について簡単に解説します

 2. カテーテル治療について

 心臓カテーテル検査とほぼ同様の段取りで行われます。主に足の付け根の血管から細い管を冠動脈まで入れて、狭い部分を広げたり削ったりする治療法で、循環器内科医の専門分野です。カテーテル・インターベンションと呼ばれて、現在は「PCI」という英語の略(Percutaneous Coronary Intervention)が一般化しています。 

 1979年にスイスの医師が報告したのが最初で、この時は先端に風船(Balloon)のついたカテーテルを冠動脈の狭くなっている部分に通し、風船で膨らませました。その後、カテーテルを経由し、さまざまな方法で冠動脈の治療をする技術や器具が開発され、現在は、狭くなっている部分を広げた後に「ステント」という網目構造をした血管の鋳型を入れる方法が主流になっています。他にも、先端にドリル状の構造を持つカテーテルで、狭窄部分を削ってしまう方法もあります。

 これらカテーテル治療にも問題点がいくつかあります。ひとつは「再狭窄」といって、一度広がった部分が数ヶ月後に再び狭くなってしまう現象です。これに関しては(日本では2004年頃から)Drug-eluting stent(ドラッグ・イルーティング・ステント、DES)といって「再狭窄」を防ぐ作用がある薬剤がじわじわとしみ出す仕組みを持つ新たなステントが広く使われ始め、冠動脈の分野における心臓外科医の出番は次第に少なくなってきたのが全国的な風潮です。

 さて、我々心臓血管外科医は循環器内科医と極めて密な関係にあります。
 その辺の業界事情についてさらに知りたい方はこちらをお読み下さい。