中頭病院心臓血管外科へ
■心臓大血管手術の皮膚切開について■
心臓の手術では実際に体のどこを切るのでしょうか。

 1. 胸骨正中切開

 多くの心臓血管外科手術は「胸骨正中切開」といって、胸の中央部に縦にメスを入れます。そしてその下にある胸骨という、ネクタイのような骨を縦に切開して手術を行います。胸骨の下には心膜という心臓を覆う厚い膜があり、その下に心臓があります。胸骨は下左図のように器械で拡げて手術を行います。
 心臓の操作が終われば、胸骨は下右図のように針金(ステンレスワイヤー)で締めます。(胸骨正中切開を行わない冠動脈バイパス手術についてはこちらをご覧下さい)

      

2. 左開胸

 下行大動脈や胸腹部大動脈の手術では、左側の胸を斜めに切開します。そして肋骨の間を拡げて(肋骨は1〜2本意図的に折ることになります)手術を行います。左胸には左肺があるため、これを萎ませて大動脈を剥離します。この間、右肺だけで人工呼吸を行う麻酔管理になります。下図は胸腹部大動脈の手術で、腹部まで切開を伸ばした例です。下行大動脈は体の後方に位置するため、これよりも背側に切開する場合もあります。

  

3. 右開胸

 再手術で、癒着のため胸骨正中切開が困難な場合や、ある種の先天性心疾患などで右開胸(左開胸の逆になります)で手術が行われることがあります。